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あれから何回丑年が巡ってきたろうか。丑年にちなんで年賀状にこの詩を引用した。全文ではなく一部を抜粋したのだが、多分1節目の9行目あたりから 2節の前半ぐらいだったか。読んでいくうちに自然に自分自身の理想が重なっていたのかもしれない。今読み返すと恥ずかしい。とても牛には敵わない。でもやはり、これは自分の気持ちに近いと思う。私も「正直な涎」をたらして「踏み出す足は必然だ」と思いつつ歩いていきたい。 「牛」 牛はのろのろと歩く 牛は野でも山でも道でも川でも 自分の行きたいところへは まっすぐに行く 牛はただでは飛ばない、ただでは躍らない がちり、がちりと 牛は砂を堀り土を掘り石をはねとばし やっぱり牛はのろのろと歩く 牛は急ぐ事をしない 牛は力一ぱいに地面を頼って行く 自分を載せている自然の力を信じきって行く ひと足、ひと足、牛は自分の道を味わって行く ふみ出す足は必然だ うわの空の事でない 是でも非でも 出さないではいられない足を出す 牛だ 出したが最後 牛は後へはかえらない 足が地面へめり込んでもかえらない そしてやっぱり牛はのろのろと歩く 牛はがむしゃらではない けれどもかなりがむしゃらだ 邪魔なものは二本の角にひっかける 牛は非道をしない 牛はただ為たい事をする 自然に為たくなる事をする 牛は判断をしない けれども牛は正直だ 牛は為たくなって為た事に後悔をしない 牛の為た事は牛の自身を強くする それでもやっぱり牛はのろのろと歩く どこまでも歩く 自然を信じ切って 自然に身を任して がちり、がちりと自然につっ込み食い込んで 遅れても、先になっても 自分の道を自分で行く 雲にものらない 雨をも呼ばない 水の上をも泳がない 堅い大地に蹄をつけて 牛は平凡な大地を行く やくざな架空の地面にだまされない ひとをうらやましいとも思わない 牛は自分の孤独をちゃんと知っている 牛は食べたものを又食べながら じっと淋しさをふんごたえ さらに深く、さらに大きい孤独の中にはいって行く 牛はもうとないて その時自然によびかける 自然はやっぱりもうとこたえる 牛はそれにあやされる そしてやっぱり牛はのろのろと歩く 牛は馬鹿に大まかで、かなり無器用だ 思い立ってもやるまでが大変だ やりはじめてもきびきびとは行かない けれども牛は馬鹿に敏感だ 三里さきのけだものの声をききわける 最善最美を直覚する 未来を明らかに予感する 見よ 牛の眼は叡知にかがやく その眼は自然の形と魂とを一緒に見ぬく 形のおもちゃを喜ばない 魂の影に魅せられない うるおいのあるやさしい牛の眼 まつ毛の長い黒眼がちの牛の眼 永遠を日常によび生かす牛の眼 牛の眼は聖者の眼だ 牛は自然をその通りにぢっと見る 見つめる きょろきょろときょろつかない 眼に角も立てない 牛が自然を見る事は自然が牛を見る事だ 外を見ると一緒に内が見え 内を見ると一緒に外が見える これは牛にとっての努力じゃない 牛にとっての当然だ そしてやっぱり牛はのろのろと歩く 牛は随分強情だ けれどもむやみとは争わない 争はなければならない時しか争わない ふだんはすべてをただ聞いている そして自分の仕事をしている 生命をくだいて力を出す 牛の力は強い しかし牛の力は潜力だ 弾機ではない ねじだ 坂に車を引き上げるねじの力だ 牛が邪魔者をつっかけてはねとばす時は きれ離れのいい手際だが 牛の力はねばりっこい 邪悪な闘牛者の卑劣な刃にかかる時でも 十本二十本の槍を総身に立てられて よろけながらもつっかける つっかける 牛の力はかうも悲壮だ 牛の力ははうも偉大だ それでもやっぱり牛はのろのろと歩く 何処までも歩く 歩きながら草を食ふ 大地から生えてゐる草を食ふ そして大きな体を肥やす 利口で優しい眼と なつこい舌と かたい爪と 厳粛な二本の角と 愛情に満ちた鳴き声と すばらしい筋肉と 正直な涎を持った大きな牛 牛はのろのろと歩く 牛は大地をふみしめて歩く 牛は平凡な大地を歩く |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
明けましておめでとうございます。 |
たろにゃん 2009/01/02 23:07 |
高村光太郎は牛をどこで見たのでしょう? |
けっこ 2009/01/03 21:04 |
ありゃ、また新年早々誤字です |
けっこ 2009/01/03 21:09 |
今年もよろしくお願いいたします^^。 |
なお 2009/01/04 00:01 |
たろにゃん様 |
かおたいま 2009/01/04 10:03 |
けっこ様 |
かおたいま 2009/01/04 10:08 |
なお様 |
かおたいま 2009/01/04 10:21 |
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